2026.04.13

訪問看護の疑問を解決!最新の疑義解釈(Q&A)まとめ

令和8年度の診療報酬改定がいよいよ2ヶ月後の6月に迫ってきました。
現在は準備の最終段階ですが、
厚生労働省より具体的な運用ルールを定めた「疑義解釈(Q&A)」が2本発出されています。

今回は、訪問看護ステーションの運営において特に関心の高い項目について、その実務上の解釈を解説します。
施行前に正確な内容をチェックしておきましょう。

 


目次

  1. 「同一建物」の定義と「同一敷地内」の範囲(問1)
  2. 妊産婦・乳幼児への「育児支援」算定の取扱い(問2)
  3. 別表第7(難病等)に該当する者の解釈(問4)
  4. 別表第8(皮膚疾患)に該当する者の要件(問5)
  5. 医療安全に関する研修の具体的な内容(問2)
  6. ヤングケアラーの把握と情報提供の可否(問3)
  7. まとめ:6月施行に向けた最終確認

 


  1. 1.「同一建物」の定義と「同一敷地内」の範囲

  2. 今回の改定では、同一建物居住者について「同一敷地内」が含まれることが明記されました。
    移動の実態に応じた厳格な判断が求められます。

 

  1. 【令和8年3月23日 事務連絡 別添5 問1】
    問:同一建物居住者について、同一敷地内が含まれることとなったが、
    ①同一敷地内とはどのような場合が該当するか。
    ②例えば敷地が広大である場合においても、建物が同一敷地内に所在する場合は該当するのか。

    (答)
    ① 同一地番の敷地内である場合や、同一地番ではなくとも公道に出ずに敷地を行き来できる等一体的に利用されている敷地である場合が該当する。
    ② ①に該当する場合であっても、広大な敷地に複数の建物が点在するもの(例えば、UR(独立行政法人都市再生機構)などの大規模団地や、敷地に沿って複数のバス停留所があるような規模の敷地)で、他者が占有する土地によって隔てられており建物と建物の距離が離れている場合は、同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なるため含まれない。

 

【ポイント】

  1. これまで、医療保険においては同一敷地内のルールが曖昧でしたが、今回はこれが明文化された形になります。
  2. この解釈に基づけば、例えば機能強化型の要件でもあり、居宅介護支援事業所が同一敷地内である必要がありますが、同一地番でなくても公道を出ずに敷地を行き来できる状況であれば、隣の建物であったとしても認められるということです。
  3. 実は、これについては厚生局に以前質問をしていて、同様の回答をもらっていました。
    なので、今回このように明文化されたことは、良かったなと感じています。

 


  1. 2.妊産婦・乳幼児への「育児支援」算定の取扱い

  2. 育児への関与については、算定の根拠が「療養上の世話」にあるかどうかが重要です。

 

  1. 【令和8年3月23日 事務連絡 別添5 問2】
    問:妊産婦または乳幼児への指定訪問看護に当たって、訪問看護の一環として妊産婦への育児指導や乳幼児の育児支援を行うことはできるか。また、その場合の訪問看護の実施時間の取り扱い如何。

    (答) 疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にはない妊産婦又は乳幼児への、育児支援を主な目的とした訪問は、指定訪問看護に該当しない。
    疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある妊産婦又は乳幼児に対して、主治医が交付した指定訪問看護に係る指示書に基づき指定訪問看護を行う場合であって、当該妊産婦又は乳幼児への直接的な看護と併せて、当該妊産婦の子の育児支援又は当該乳幼児の母への育児指導等を行う場合には、当該育児支援又は育児指導の時間は、指定訪問看護の実施時間に含まれる。

 

【ポイント】

  1. 健康な母子に対する「支援のみ」の訪問は不可ですが、指示書に基づく「直接的な看護」が必要なケースであれば、併せて行う育児支援の時間も合算して算定できます。
  2. つまり、どのように医師から指示を受けたかということが、指示書内に明確にされていることが求められます。

 


  1. 3.別表第7(難病等)に該当する者の解釈

 

  1. 特定の疾患名について、読み替えのルールが明確に回答されました。

 

  1. 【令和8年3月23日 事務連絡 別添5 問4】
    問:主たる傷病名が「視神経脊髄炎」の利用者は、特掲診療料の施設基準等の別表第7に掲げる別に厚生労働大臣の定める疾病等の「多発性硬化症」に該当すると考えてよいか。また、主たる傷病名が「多巣性運動ニューロパチー」の利用者は、「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」に該当すると考えてよいか。

    (答) いずれもそのとおり。

【ポイント】

  1. 「視神経脊髄炎」や「多巣性運動ニューロパチー」の利用者も、それぞれ医療保険での週4回以上の訪問(別表第7)の対象として扱うことができます。
  2. なお、気を付けなければならない点として、別表7に該当するかどうかについては指示書の疾患名の記載に基づきますが、基本的には別表7に記載の疾患名の通りでないといけません。こういった原則があるからこそ、個別ではありますが、読み替えのルールが明記されたともいえます。

 


  1. 4.別表第8(皮膚疾患)に該当する者の要件

 

  1. 新設された項目については、医科での算定状況の確認が必須となります。

 

  1. 【令和8年3月23日 事務連絡 別添5 問5】
    問:特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の別表第8に新たに規定された在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者とは、どのような者が該当するか。

    (答)現に医科点数表区分番号「C114」在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を算定している利用者が該当するものであり、当該管理料を算定せずに単に難治性の皮膚病変を有する利用者は該当しない。

 

【ポイント】

  1. 単に皮膚の状態が悪いだけでは別表第8には該当しません。病院やクリニック側で「C114」の管理料が算定されているかどうかの確認が必要です。

 


  1. 5.医療安全に関する研修の具体的な内容

 

  1. 運営基準として求められる医療安全体制について、推奨される具体的な研修内容が示されました。

 

  1. 【令和8年3月31日 事務連絡 別添6 問2(答より)】
    (答) 内容については、例えば訪問看護における医療安全の基本的な考え方(医療安全に係る規定や事故発生のメカニズム、安全文化の醸成等)、事故発生時の対応(当該利用者の家族や関係機関等への連絡、事故の状況及び事故に際して採った処置に関する記録、損害賠償等)、再発防止策等を含む医療安全に関する内容が想定される。以下の研修を参考にされたい。
    ①公益財団法人日本訪問看護財団が厚生労働省「訪問看護における医療安全に関する研修教材作成事業」(厚生労働省令和7年度看護職員確保対策特別事業)により作成した研修教材を用いた研修
    ②一般社団法人全国訪問看護事業協会が実施している「訪問看護における医療安全に関する研修会」
    訪問看護ステーションは、従業者が当該研修を定期的(年1回、新規採用時を含む。)に研修を受講するよう機会を確保することが望ましい。研修を受講した場合には、研修内容や研修受講状況を記録しておくこと。

【ポイント】

  1. 「年1回」および「新規採用時」の研修受講機会の確保が望ましいとされています。
  2. 日本訪問看護財団等の公式な研修教材を活用し、誰がいつ受講したかの「記録」を必ず作成するようにしましょう。

 


  1. 6.ヤングケアラーの把握と情報提供の可否

 

  1. 訪問看護師が家庭で見つけた課題を、適切に地域へ繋げるための取扱いが示されました 。

 

  1. 【令和8年3月31日 事務連絡 別添6 問3】
    問:訪問看護情報提供療養費1について(中略)訪問看護ステーションの看護師等が、児童等である家族から介助や介護等を日常的に受けている利用者であること等の状況を把握した場合、その状況を含めて参考の様式を元にした文書に記載し情報提供してもよいか。

    (答)よい。

【ポイント】

  1. ご家族にお子さん(ヤングケアラー)がいて介護を担っている場合、その情報を市町村への情報提供文書に含めることができます。地域全体で支援に繋げるための重要な役割です。
  2. ヤングケアラーや虐待の疑義のあるケースは、周囲の支援が欠かせません。一方で、慎重な判断が必要であったり、現場の担当者がその責を負うことの難しさ、そして個人情報との板挟みもあり、どうしても情報共有という観点ではスムーズにいかない現実があります。今回、このように明文化されたことで現場の心理的なハードルは下がることが期待されるのではないでしょうか。

 


  1. 7.まとめ:6月施行に向けた最終確認

  2. 令和8年度の改定は、移動の実態に合わせた適正化と、医療安全・家族支援といった訪問看護の「質」を高める内容が並びます。

 

  • 同一敷地内:公道を通らず移動できる建物に住む利用者がいないか再確認を。
  • 医療安全:6月からの新年度に向け、年間の研修計画と記録簿の準備を。
  • 連携:ヤングケアラー等の課題を見つけたら、積極的に市町村へ情報提供を行う体制を。

 

  1. 施行まで残りわずかです。原文の解釈をスタッフ全員で共有し、新しい体制でのスタートを切りましょう!

 


  1. ※本記事は令和8年3月発出の「疑義解釈資料の送付について(その1・その2)」に基づき作成しています。運用にあたっては必ず厚生労働省の正式な通知を確認してください。