2026.02.16
【訪問看護】2026年診療報酬改定の具体的方向性が固まる①
前回に引き続き、2026年の診療報酬改定について触れていきます。
さて、それでは答申の結果を確認してみましょう
1.訪問看護基本療養費
訪問看護基本療養費では、
同一日に10人以上の訪問が更に細分化され、
人数が多いほど報酬単価が低くなるようになりました。
看護職員だけでなく、
リハビリでも同様の取扱いとなっている他、
精神訪問看護も同様となっています。
また、有料老人ホーム等の高齢者向け住宅に併設、
隣接している訪問看護ステーションには、
新たに包括型訪問看護療養費が新たに設けられました。
包括型訪問看護療養費は1回の訪問だけでなく、
1日ごとの算定となります。
以前から、課題として挙がっていた有料料人ホーム等への
頻回な訪問について、大きくメスが入る形となりました。
2.訪問看護管理療養費
機能強化型訪問看護療養費が軒並み加算が上がる形となりました。
さらに、新たに機能強化型訪問看護管理療養費4が新設されました。
機能強化型ではない一般の訪問看護ステーションでは、
微増となっており、基本療養費と同様で同一建物への訪問が
細分化される形となりました。


3.訪問看護医療連携加算
今回の改定で、ICTを活用した多職種連携を評価する画期的な加算が誕生しました。
これまでは電話やFAXのやり取りが主だったものが、
これからはICTツールで多職種の記録をリアルタイムに確認し、
ケアに活かすことが正当に評価されます。
ICT化を進めることは、
スタッフの「時間の短縮」や「連絡漏れの防止」にも
繋がることが調査でも明らかになっています 。
この新設加算は、その導入コストや手間を
強力にバックアップしてくれる追い風となることが期待されています。
報酬額
● 月1回に限り、1,000円
算定のポイント
この加算を算定するためには、
以下の条件を満たす必要があります。
● 多職種との情報共有:
医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネジャーなどが、ICTを用いて記録した診療情報を活用すること 。
● 計画的な管理への活用:
共有された情報を踏まえて、計画的な訪問看護を実施すること 。
● 職種のルール:
准看護師さんを除く看護職員等による管理が必要です 。
注意点
既存の「在宅患者連携指導加算(3,000円)」を算定している月は、この加算は算定できません 。
どちらの連携スタイルが自ステーションの運用に合っているか、事前の検討が大切です。
4.訪問看護遠隔診療補助料
ICTを活用したもう一つの大きな目玉として、
オンライン診療をサポートする現場の看護師を評価する加算が新設されました。
現場の看護師が「医師の目」になる評価
急変時など、医師がすぐに駆けつけられない場面において、
現場の看護師がタブレット端末等を用いて医師の診察を
リアルタイムに補助することを評価するものです 。
これまで医療機関側で算定されていた仕組みが、
今回の改定で訪問看護ステーション側の報酬として
独立する形となりました 。
夜間や休日、あるいは遠方の主治医がすぐに動けない緊急事態。
看護師がタブレットを持って真っ先に駆けつけ、
画面越しに医師と繋がることで、
その場で適切な処置や薬の指示を受ける。
この「D to P with N」という多職種連携の形が、
ステーションの収益として認められるようになったことは、
在宅医療の機動力を高める大きな一歩といえるでしょう。
● 報酬額:月1回に限り 2,650円
算定のポイント
● 緊急性が鍵:
あらかじめ計画された訪問ではなく、
主治医が「緊急に診療を要する」と判断し、
指示を出した場合に算定できます 。
● オンラインでの補助:
看護職員が居宅を訪問し、
タブレット等の情報通信機器を用いて、
医師の診療を補助する必要があります 。
● 医師側の条件:
主治医は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、
地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の医師である必要があります 。
5.訪問看護ベースアップ評価料
今回の改定で最も注目されているのが、
深刻な人手不足に対応するための賃上げ支援の強化です。
これまでの仕組みが大きく見直され、
より手厚いサポートが開始されます。
最大のポイントは、
これまで対象外だった事務職員も対象に含まれたことです。
看護職・リハ職だけでなく、
ステーションを支える全スタッフの処遇改善を
一つの仕組みで実施できるようになります。
評価料の種類はⅠとⅡで合わせて36もあるので、
ここでは、レスピケアナースでも既に算定している
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)についてみてみましょう。
● 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 1,050円
継続して賃上げに係る取組を実施していれば、1,830円となります。
また、次回の報酬改定まで期間があることから、2027年6月以降は2,100円
賃上げの取組を継続していれば、2,880円となります。
6.訪問看護物価対応料
訪問看護は移動に伴うガソリン代や、
ステーションの光熱費など、
物価高騰の影響をダイレクトに受ける業種です。
これらを直接的に支援するため、
訪問の都度算定できる報酬が加わりました。
1回あたりの金額は少額ですが、
全ご利用者に適用されるため、
訪問件数が多いステーションほどインパクトがあります。
● 訪問看護物価対応料1(月の初日):60円
● 訪問看護物価対応料1(月の2日目以降):20円
● 訪問看護物価対応料2(包括型の場合):20円
こちらもベースアップ評価料とともに、
令和9年6月以降は「初日120円、2日目以降40円」へと倍増します。
まとめ
全2回にわたってお伝えしてきた
2026年度診療報酬改定の速報、
いかがでしたでしょうか。
今回の改定を一言で表すなら、
「適正化というムチ」と
「賃上げ・DX・物価対応というアメ」が
非常にはっきりした内容です。
集合住宅への過剰な頻回訪問は厳しく制限される一方で、
ICTを活用して多職種と繋がり、
スタッフの給与をしっかり引き上げるステーションには、
かつてないほど手厚い支援が用意されています。
報酬以外でも、新たに変わる部分もあれば、
現実的に運用できるのか不透明な内容もあります。
これらは、今後Q&Aで明らかになってくるでしょう。
当ステーションでも、
これらの改定を前向きに捉え、
より質の高い看護を提供できる体制を整えてまいります。