2026.07.12
ChatGPTとGemini、どっちを使う?介護現場の使い分け
「性格の違い」を知れば、迷わなくなる
「結局、どっちを入れればいいんですか?」
前回の記事を読んだ同業の方から、いちばん多くいただいた質問がこれでした。
ChatGPTとGemini。名前は聞くけれど、どちらが自分たちに合うのか分からない。両方入れるのはコストがかかる。かといって、選んだ方が失敗だったら困る──。
結論から言います。どちらが優れているか、ではありません。性格が違うだけです。
そして性格さえ分かってしまえば、「この仕事はこっち」と迷わず選べるようになります。
1. 一言でいうと:「仕上げる」ChatGPT、「材料を集める」Gemini
ChatGPT = 仕上げるAI
文脈を読み、こちらの意図を汲んで、そのまま使える形に仕上げてくれます。考える仕事を支えるAIです。
Gemini = 集めるAI
Web上の情報やGoogleドライブの資料をもとに、材料を網羅的に揃えてくれます。集める仕事を支えるAIです。
料理にたとえるなら、Geminiが「冷蔵庫の中身を全部出して並べてくれる人」で、ChatGPTが「その材料で一皿に仕上げてくれる人」です。
2. 5つの場面で比べてみる
| 場面 | ChatGPT | Gemini |
|---|---|---|
| 文章生成 | そのまま使える文章。構成・論理・読みやすさが強い → 仕上げる文章 |
素材を揃えるのが得意。情報ベースで網羅的 → 材料を集める文章 |
| 要約 | 意味が通る形に要点を再構成する → 再編集型 |
原文に忠実に、抜き出して整理する → 抽出型 |
| アイデア出し | 1つを磨く。文脈を踏まえて深く掘る → 深掘り発想 |
選択肢を広げる。数を出すのが得意 → 発散発想 |
| 質問への回答 | 会話的。背景・意図を読み取って答える → 意図理解型 |
検索的。事実ベースでストレートに答える → 即答型 |
| 業務での使い方 | 企画・提案・資料化。“考える仕事”に → 思考支援 |
調査・下調べ・整理。“集める仕事”に → 情報支援 |
たとえば「研修の内容を整理したい」ならChatGPT。「今年の報酬改定の内容を調べたい」ならGemini。同じ“AIに聞く”でも、向いている方向がまったく違います。
3. 料金と導入のハードル(2026年7月時点)
| ChatGPT | Gemini | |
|---|---|---|
| 個人向け有料プラン | Plus:月額20ドル (日本ではおおむね3,000円前後) |
Google AI Pro:月額2,900円(税込) |
| 法人で使うなら | Business プラン(1ユーザーあたり) | Google Workspace Business Standard:月額1,600円(年契約/月払いは1,900円) |
| 導入ハードル | 登録すればすぐ使える | 独自ドメインの取得・設定、 アカウントと組織設定の管理が必要 |
Google Workspaceを入れる場合のメリット
ここが見落とされがちなのですが、Google Workspace Business Standard 以上のプランには、Geminiが標準で含まれています(2025年1月の改定)。つまり、AI単体で契約するのではなく、業務基盤ごと入れられます。
- 共有ドライブが使える(個人のドライブではなく、会社のドライブにファイルが残る。アクセス権限も切り分けられる)
- 2TBの大容量ストレージ
- Googleアプリ(Gmail・ドキュメント・スプレッドシート)との高度な連携
- NotebookLMの機能拡張(→ 第4回で詳しく扱います)
- AI利用上限の大幅な増加
「AIを入れる」ではなく「会社の情報基盤を整える」と考えると、Workspaceの1,600円は見え方が変わってきます。
共有ドライブは、地味ですが本質です。
退職者の個人アカウントにファイルが残っていて、誰も開けない──介護・福祉の事業所でよく起きるこの事故を、構造的に防げます。
4. 私たちの実際の使い分け
アイランドケアで、実際にどう使い分けているかをそのままお見せします。
ChatGPTを使う仕事
- 研修内容の整理・言語化
- スライド構成のブラッシュアップ
- 伝え方の改善(わかりやすさ)/デザインの見せ方
- 業務整理
- ちょっとした実務的な調べもの
- 文章の添削やトーンの調整
→ 「考えを形にする」仕事。頭の中にあるモヤモヤを、言葉にして整える。
Geminiを使う仕事
- 議事録の作成(NotebookLMの活用)
- 社内規程などの更新・作成
- ポスターやチラシの生成(デザイン案)
- 市場調査(ディープリサーチ機能)
- 研修資料の作成
- ビジネスメールの作成支援
- 計算するようなもの
→ 「材料を集めて整える」仕事。分量が多く、根拠が必要なもの。
5. 迷ったときの選び方
どちらか1つから始めるなら、こう考えてください。
すぐに試したい/まず個人で使ってみたい → ChatGPT
登録すればその日から使えます。導入の手間がほぼありません。
会社としてAIを入れたい/情報基盤も整えたい → Google Workspace(Gemini)
ドメイン設定などの初期作業は必要ですが、共有ドライブ・権限管理・NotebookLMまで含めて、組織の土台ごと整います。
理想は、両方の性格を知って使い分けること。私たちも両方を使っています。「AIを1つ選ぶ」のではなく、「この仕事はどちらの得意分野か」で選ぶ。それだけです。
なお、AIに利用者さんの個人情報を入力してよいのかという重要な論点があります。結論から言えば、無料版への個人情報の入力は原則NGです。この理由と、事業所として決めておくべきルールは、次回・第3回で詳しくお伝えします。
まとめ
- ✅ ChatGPTは仕上げるAI(思考支援)、Geminiは材料を集めるAI(情報支援)
- ✅ 優劣ではなく、性格の違い。仕事の種類で選ぶ
- ✅ 2026年7月時点:ChatGPT Plus=月20ドル/Google AI Pro=月2,900円/Workspace Business Standard=月1,600円(年契約)
- ✅ Workspace Business Standard以上にはGeminiが標準搭載。共有ドライブごと整えられる
- ✅ 個人情報の扱いは第3回で詳述します
次回予告|シリーズ「ケアの現場のAI最前線」第3回
AIに利用者の情報を入れて大丈夫?無料版と有料版の違い
- 私たちは「記録のプロ」ではなく「ケアのプロ」である
- ChatGPTとGemini、どっちを使う?介護現場の使い分け(この記事)
- AIに利用者の情報を入れて大丈夫?無料版と有料版の違い(近日公開)
- NotebookLM入門(近日公開)
- AIで個別支援計画は作れるか(近日公開)
- 社内ポータルとChatbot(近日公開)
事業所の方へ
「どちらを入れるべきか、うちの規模で判断がつかない」
「導入したものの、現場で使われずに終わってしまった」
アイランドケアでは、自らの現場でAIを使いはじめており、システム面では社内ポータル・チャットボット・マニュアル整備までを実践しています。同じ悩みを持つ事業者の皆さまへ、その経験をお伝えしています。
出典・参考資料
- OpenAI「ChatGPT Pricing」
https://chatgpt.com/pricing/ - Google Workspace「料金プラン」
https://workspace.google.co.jp/pricing?hl=ja - Google「Google AI プラン」
https://gemini.google/jp/subscriptions/?hl=ja - 中川路 匠「AIを現場に活かす」(一般社団法人全国介護事業者連盟 障がい福祉事業部会 福岡県支部)
※本記事の料金・プラン内容は2026年7月12日時点の情報です。生成AIはアップデートが頻繁なため、最新の内容は必ず各公式サイトをご確認ください。