2026.06.02

【福岡市南区】警固断層の最新被害想定を知っていますか?

エッセンシャルワーカーとして、私たちが地域に伝えたいこと

「どういった状況に置かれていても、皆さんがその人らしく生活を続けていくことができるように支援をしていきます」

訪問看護・訪問介護を担うアイランドケアは、福岡市南区野多目を拠点に、毎日地域の皆さんのご自宅を訪問しています。

私たちはエッセンシャルワーカーとして、有事の際にも動き続けることが求められています。だからこそ、「もし大きな地震が来たら」という問いを、常に持ち続けています。

福岡で最も近い将来に起こりうるとされているのが、警固断層帯の地震です。2025年10月、福岡県が公表した最新の被害想定(アセスメント)は、私たちが想像していた以上に深刻な数字を示していました。

この記事では、データという事実と、現場から見えている課題の両方をお伝えします。

この記事の目次

  1. 警固断層帯とは何か
  2. 令和7年アセスメントが示す被害の規模
  3. 福岡市南区への影響と避難者数
  4. 「見えない避難者」という問題
  5. アイランドケアが防災に力を入れる理由
  6. 今日からできる3つの備え

警固断層帯とは何か

福岡市の中心部を南北に縦断している活断層、それが「警固断層帯」です。

約165万人が暮らす福岡市の地下を走っており、政府の地震調査委員会は、30年以内の地震発生確率を「Sランク」(最も危険な区分)に分類しています。

2005年3月の「福岡県西方沖地震」(M7.0・最大震度6弱)を覚えている方も多いでしょう。

あの時、揺れたのは断層帯の「北西部」でした。
南区の直下を走る「南東部」では、まだ大きな地震は起きていません。
その分、「残されたリスク」として今も専門家が注目しています。

令和7年アセスメントが示す被害の規模

2025年10月、福岡県は最新の地震被害想定を公表しました。前回(2011年)と比べて、大幅な上方修正となっています。警固断層帯(区間連動)で地震が発生した場合の想定は、以下のとおりです。

項目 令和7年(2025年)想定 前回(2011年)比
地震規模 M7.7
最大震度 震度7
全壊・全焼棟数 36,000棟 約2倍(+18,000棟)
半壊棟数 85,000棟 約6倍(+70,000棟)
死者数 1,800人 +600人(約50%増)
負傷者数 12,000人
避難者数(発災当日) 319,000人 約8倍(+278,000人)
災害関連死 800人

※ 冬18時・強風の最大ケース。福岡県令和7年アセスメント(2025年10月公表)より。

「前回の想定より、実際の被害はずっと大きい可能性がある」
そのことを、まず知っておいてください。

福岡市南区への影響と避難者数

警固断層帯の南東部が活動した場合、南区を含む福岡市の広い範囲で最大震度7が想定されています。震度7とは気象庁の最高区分で、耐震性の高い木造建物でも倒壊するものがあるレベルです。

ライフラインへの影響も深刻です。

  • 停電 約44,000軒
  • 断水 170,000人
  • 都市ガス供給停止 85,000戸

南区から何人が避難するのか

時点 南区の総避難者数 うち避難所 うち在宅・車中泊
発災当日 約21,000人 約12,600人(60%) 約8,400人(40%)
1週間後 約23,000人 約11,500人(50%) 約11,500人(50%)
1か月後 約22,000人 約6,600人(30%) 約15,400人(70%)

※ 福岡県令和7年アセスメント(2025年)の試算に基づき算出。

1週間後に総避難者数がむしろ増えるのは、断水が長引くにつれ「自宅では生活できない」と判断する方が増えるためです。1か月後も約6,600人が避難所生活を続けています。

📊 福岡市全体・県全体の避難者規模

福岡市全体では発災当日に約23万2千人、福岡県全体では約31万9千人が避難する見込みです(1週間後は約32万7千人)。

「見えない避難者」という問題

数字の裏に、見えにくい課題があります。私たちが現場で感じている問題を、率直にお伝えします。

在宅避難者には支援が届きにくい構造だった

従来の日本の法制度は「避難所にいる人を中心に支援を届ける」設計になっており、在宅避難者には物資や情報が届きにくい構造でした。2025年5月の法改正(改正災害救助法・改正災害対策基本法)により「場所の支援から人の支援へ」転換されましたが、実施体制の整備はこれからです。

特に、電源が確保されなければ命に関わる人工呼吸器を使用されているご利用者さんにとって、停電は即座に危機につながります。

訪問看護師は、そういう方と外部をつなぐ「橋渡し」の役割を担える存在だと考えています。

福祉避難所に「どこへ行ったか」が分からなくなる

特別なケアが必要な方は「福祉避難所」に移ることが想定されますが、自治体に問い合わせても、どのご利用者さんがどこへ避難したかは把握できません。

だからこそ今できる最大の備えは「日頃のご利用者さんとの対話」です。「もし避難するとしたら、どこへ行きますか?」——そうした会話を積み重ねておくことが、有事の際の対応を大きく変えます。

アイランドケアが防災に力を入れる理由

エッセンシャルワーカーとして、有事にも動き続ける

訪問看護ステーションは、大規模災害が起きた時にも動くことが求められています。「災害関連死」で亡くなる方が直接死よりも多くなるケースが多い中、在宅に残るご利用者さんを継続的に訪問できる役割は決して小さくありません。

  • スタッフへの防災教育の継続
  • 緊急時の連絡体制・安否確認フローの整備
  • 事業継続計画(BCP)の定期的な見直し

BCPはスタッフの「生活」を守るためでもある

業務が止まればスタッフは働くことができない。働けなければ給与を支払うことができない。国や行政がスタッフの給与を肩代わりしてくれるわけではありません。

業務を継続していくということは、スタッフの雇用と生活を守るということでもある。だからこそBCPは私たちにとって欠かせない取り組みです。

「災害が来てから考える」では、大切なご利用者さんも、共に働くスタッフも守ることができません。このブログも、「知ること」が備えの第一歩だという思いから発信しています。

今日からできる3つの備え

福岡県の最新アセスメントでも、県民向けに3つのポイントが示されています。

1
家の中の安全対策

家具を固定する、重いものは下に収納する、出入り口に物を置かない、寝室の家具を減らす。「いつ来るかわからない」からこそ、今日できることを。

2
家庭における備蓄

飲料水・食料・携帯トイレなど生活物資は最低3日分(できれば1週間分)。ローリングストックを活用すると無理なく続けられます。

3
避難場所と連絡先の確認

一般の避難所だけでなく福祉避難所の場所も確認しておきましょう。「もし避難するとしたらどこへ」「誰と連絡を取り合うか」を、今から家族やヘルパー・訪問看護師と話しておくことが大切です。

まとめ

南区だけでも発災当日に約2万1千人が避難し、1か月後も約6,600人が避難所生活を続けるという現実。声を上げられない在宅避難者、どこへ避難したか分からなくなるご利用者さん——私たちはそれを日々感じながら、この地域に関わっています。

「どういった状況に置かれていても、皆さんがその人らしく生活を続けていくことができるように支援をしていきます」

── この言葉が、私たちアイランドケアが防災に向き合う理由です。

ご利用者様・ご家族の皆様へ
サービスに関するご不明な点や、災害時の対応についてのご相談は
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら