2026.07.17
62ページの通知を読む前に要約するNotebookLM入門
「自分の資料だけ」で動く、嘘が出にくいAI
机の上に、読むべき通知が積み上がっていませんか。
こども性暴力防止法、置き去り防止のガイドライン、処遇改善加算の考え方、虐待防止の手引き……。どれも大事。でも、全部読む時間は、正直ありません。
たとえば、こんな資料たち。
- こども性暴力防止法について(周知事項)… 18ページ
- 送迎用バスの置き去り防止 安全装置ガイドライン … 23ページ
- 福祉・介護職員等処遇改善加算 基本的考え方 … 38ページ
- 障害児支援における安全管理について … 62ページ
- 障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き … 72ページ
──合わせて200ページ超。
この「読む前に、まず要約させる」を可能にするのが、今回ご紹介するNotebookLM(ノートブックエルエム)です。Googleが提供する、無料で使える”資料特化型AI”です。
1. NotebookLMは何が違うのか
ふつうのAI(ChatGPTなど)は、インターネット全体の知識から答えます。だから便利な反面、本当かどうか分からない答えが返ってくることもあります。
NotebookLMは、まったく逆の発想です。
あなたがアップロードした資料”だけ”を
根拠に答える。
その資料に書いていないことは、「知りません」と正直に答えます。つまり、厚労省の通知PDFを入れれば、その通知の内容だけを、正確に教えてくれる。勝手な作り話が混ざりにくいのです。
2. なぜ「嘘が出にくい」のか
AIには「ハルシネーション」という弱点があります。もっともらしい嘘を、堂々と答えてしまう現象です。制度や法令を扱う私たちにとって、これは致命的です。
NotebookLMがこれを抑えられるのは、2つの仕組みがあるからです。
- ①ソースを限定する:入れた資料の外からは答えない
- ②根拠を必ず示す:回答に [1] のような番号が付き、クリックすると元資料の該当箇所へ一瞬でジャンプする
「AIがそう言った」で終わらせず、必ず原典を自分の目で確認できる。これが、行政文書のように”正確さが命”の資料と、NotebookLMの相性が抜群な理由です。
3. 読み込めるもの・無料でできること
読み込める資料(ソース)は多彩です。
- PDF/テキスト/Word(.docx)
- Googleドキュメント・スライド・スプレッドシート
- WebサイトのURL/YouTube動画のURL
- 音声ファイル(会議の録音など)/画像
無料版でできることの目安は、次のとおりです(2026年7月時点)。
| 項目 | 無料版の目安 |
|---|---|
| 作れるノート | 100冊まで |
| 1ノートに入れられる資料 | 50件まで |
| 1日の質問回数 | 50回まで |
| 音声概要(Audio Overview) | 2人が対話形式で解説する5〜10分の音声を自動生成 |
通勤中に、資料を”聞いて”把握する──そんな使い方もできます。より多く使いたい場合は、有料プラン(Google AI Pro/Google Workspace)で上限が拡張されます。
4. 現場での3つの使い方
① 膨大な資料を要約する
62ページの通知を入れて「要点を5つにまとめて」。読む前に全体像がつかめます。分からない部分は、そのまま質問すれば、根拠つきで答えてくれます。
② 誤字脱字・表現の精査
作成した計画書や文書を入れて「誤字脱字や分かりにくい表現を指摘して」。第三者の目として使えます。
③ 議事録を作る
会議のフォーマットと音声記録を入れて、「このフォーマットに沿って議事録を作成してください」の一言。
※単純な録音は「誰の発言か」の区別(話者分離)が苦手です。話者を分けたいなら、Google MeetやZoom有料版の文字起こし、Nottaなどのツールを併用しましょう。
5. 使う前の注意(個人情報)
行政文書や制度の要約なら、個人情報は含まれないので安心して使えます。ただし、利用者さんの個人情報を含む資料を扱うときは、前回・第3回のルールを必ず守ってください。
まとめ
- ✅ NotebookLMはアップした資料だけを根拠に答える”資料特化型AI”
- ✅ 根拠(出典)を必ず示すから、嘘が出にくく、原典を自分で確認できる
- ✅ 行政文書・制度など正確さが命の資料と相性抜群
- ✅ 要約・文書チェック・議事録に。無料で始められる
- ✅ 個人情報を扱うときは第3回のルールを守る
「読む前に、まず要約させる」。この一手で、資料の山に費やしていた時間が、ケアに向き合う時間に変わります。
次回予告|シリーズ「ケアの現場のAI最前線」第5回
AIで個別支援計画は作れるか——「型」にはめない使い方
事業所の方へ
「AIを現場に定着させたいが、何から始めればいいか分からない」
「うちの資料でうまく使えるか不安」
アイランドケアでは、自らの現場でAIを使いはじめており、システム面では社内ポータル・チャットボット・マニュアル整備までを実践しています。同じ悩みを持つ事業者の皆さまへ、その経験をお伝えしています。ご相談はお問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
出典・参考資料
- Google「NotebookLM」
https://notebooklm.google.com/ - 日経xTECH「参照データを指定できる生成AI、回答のハルシネーションを抑制」
- 中川路 匠「AIを現場に活かす」(一般社団法人全国介護事業者連盟 障がい福祉事業部会 福岡県支部)
※本記事の機能・上限に関する内容は2026年7月16日時点の情報です。NotebookLMは頻繁に更新されるため、最新の内容は必ず公式情報をご確認ください。