リハビリで大切なICFという視点について
リハビリテーションでは、ICFの視点に基づいて評価分析をしていくことがとても重要です。
よく、医療職ではない方々から聞かれることとして「理学療法士は足、作業療法士は手ですよね?」と聞かれることがあります。一時期はそれでも外れではありませんでしたが、今ではこの考え方はナンセンスといえます。
理学療法士は足、作業療法士は手ではない理由
なぜ、この考え方がナンセンスかというと、これは身体だけのことに特化した話だからです。確かに一時期はそういった診療報酬のされ方があったと言われています。
しかし、リハビリテーションが目指すのは「全人的復権」であり、そこには身体の回復も含まれていますが、それが全てではありません。
「全人」とは、身体だけでなく人格や意思等も含まれています。逆を言うと身体の維持回復だけを考えたリハビリテーションというのは、経験を積んでいるリハビリ専門職からみると大変お粗末だと感じます。これは疾患の重度に差があろうとも、またはどの世代に対するリハビリテーションに対しても同じだといえます。
だからこそICFが大切
ICFとは、国際生活機能分類という国連が認めている健康の指標であり、生きることの全体像ともいわれています。国連が認めているだけあって世界中で使用できます。
特徴的なのは、文字通り心と身体である「心身機能」に加え、その人が個人的に行っている「活動」や、誰かと一緒に関わって行う「参加」、そして「環境因子」と自らのパーソナリティーや人生観など人格部分を司る「個人因子」があります。
リハビリ専門職は、これらの因子をバランスよく見て、この人が何がしたいのか、どういった人生を送りたいのか、何を楽しいと感じるのか、こういったことにも思いを馳せながらリハビリプログラムを考えるのです。
例え心身の状態が崩れても、環境で補うことで健康全体のバランスが取れることもあれば、本人が志高くいれば心身の状態がこれまでより崩れていても、その人らしさを発揮していくことが出来ます。
例えば、パラリンピックに出るようなスポーツ選手だと後者ではないでしょうか。そのような人は、身体の一部が無かったりもするわけですが、果たして健康ではないと言えるのでしょうか。
理学療法士でも作業療法士でも手法に差はあっても、リハビリテーションである以上は、このICFの視点に立っているからには、見つめる先は一緒だと考えています。